スペインのワイン造りの伝統は幾世紀も前に溯ります。遠くはフェニキア人、ギリシャ人、ローマ人たちによってスぺインワインの品質が享受されていましたが、これらの事実はウェルギリウス、コルメラ、アウレリゥスと言った古典作家の作品の中に散見されております。後に、8世紀から15世紀にわたってムーア人の侵攻に対して戦ったキリスト教との半島再征服の長い道程の中で葡萄畑の面積は拡大して行き、1492年コロンブスに率いられた船団がアメリカ大陸に到達して以来、彼の地にも葡萄畑が広がることになりました。
かくして、16世紀にスペインの黄金時代が到来するのですが、それは芸術や文学ばかりでなく、農業やその関連産業も発展し、なかんずく、ワイン文化の華が咲いたのです。その様子は、国際的に知られたミゲル・セルバンテスの作品"奇想驚くべき郷土ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ"にも記述されています。
続く何世紀かの間に、スペインの葡萄醸造工業は発展の一途を辿りますが、自らのワイン造りの伝統的な手法に固執することなく、他のヨーロッパ工業で見られた技術の進歩や葡萄品種の改良をも積極的に導入して行きました。
そのようにして、現在スペインは世界で最も重要な葡萄醸造工業国の一つとして、国際的水準から見ても最高級のワインを幾つか生み出しているのです。世界最大の葡萄栽培面積(約1,200,000ヘクタール)を持ち、ワインの輸出は8百万ヘクタリッターを超え、主としてEU諸国と米合衆国へ仕向けられておあります。
業界並びにスペイン政府が主たる目的として来たことは、スペインワインの品質の保持と改良でした。現行法に依って、原産地呼称庁(INDO)は原産地呼称(D.O.)に就いて全国レベルの政策を実施する役割を持ち、D.O.によって保証される生産物の製造とその品質に関して指導し、監視し、規制します。D.O.とは地方、地域、区域の地理上の名称で、主として自然環境、醸造、熟成の違いに基づいて独自の品質特徴を持つワインに対して用いられるものと理解されます。現行法は同様に、葡萄栽培者と醸造業社自身で構成される原産地呼称統制委員会の権能に就いても定めており、ワインの醸造と品質に関する指導、監督、監視を行うこと。D.O.ワインのプレステージに気を配ること。D.O.の葡萄畑、醸造所、生産等の登録を行い、ワイン醸造施設や酒蔵からの葡萄・搾汁・ワインの入荷・出荷を管理すること。原産地証明書、保証ラベル、シールラベルを発行することが主な役割となっております。
世界中の他のどの国に比べても、スペインほど幅広く多様な良質のワインを提供できる国は多分ないでしょう。シャンパン製法で作られるエレガントな辛口のスパークリングワイン、若くフレッシュでフルーティな白ワイン、特別に厳選され永い樽熟期間を経て生まれる偉大なビンテージの赤ワイン、心誘われる快い香りをもった洗練されたロゼワイン、完璧な辛口のフィノシェリー、非常に古い年代物の酒精強化ワイン、大西洋のワイン、地中海のワイン、まさに良質のワインの宝庫です。