カシとコルクの木の多い地中海性の森や牧草地はイベリア種の豚にとって理想的な環境です。イベリア種の豚と生理学的にも形態学的にも独特の特性を持つ野生に近い黒色の豚で、どんぐりの実を主食とします。イベリア半島の住民は大昔から高地の乾燥した気候を利用して豚肉を巧みに塩漬けにして保存する方法を知っていました。
ローマ時代にもイベリア種の豚肉加工品はかぐわしい香りと味、肉質の良さで定評がありました。現在でもスペイン中西部や南西部の一部の地域では昔ながらの伝統的な方法が受け継がれ、すべて手作りで作られています。牧草地の自然の中で育ったイベリア種の豚から作られる各種ハムやソーセージの生産量はかぎられています。成育にふさわしい環境も減りつつある中、その保護にも留意しなければなりません。1950年代になると生産性の高い新種の白豚が導入されました。イベリア種の豚は数が減り、現在では全飼育数の5%を占めるのみになりました。スペインはヨーロッパ第三位の豚飼育国です。
ハム:イベリア種から作られる生ハムのほかにスペインには3000万本以上の生ハムが生産されています。スペインは世界一の生ハム生産国です。1990年に主なメーカーによって設立されたスペイン生ハムコンソーシウムは品質管理のための厳しい規格を設定しました。そのためコンソーシウムのマークがついたハムは高品質が保証されているのです。